ラスト・デイ
お盆最終日。
我々が義母タカコ邸に滞在するのも今日までなので、義母が「取り憑かれたまま」帰るのは心配でした。
義母も相変わらず体調が良くなったり辛くなったりしてますので、最期に「一気上げ」をしようと仏間に義母を連れていきました。
お経のリーダーも、義母に委ねてみました。
「般若心経」「自我偈」「地蔵菩薩の経」などを読み進めて行き、滞りなく読み終えたところで義母が「ああああ…」と呻き出しました。
はい、出ました。
最初に出てこられたのは、「生きたまま、樽のような物に詰められ、そのまま埋められた『おばあちゃん』」です。
息苦しくて息苦しくて死んでいかれました。
*姥捨山みたいな感じですかね…(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
次に出てこられたのは、「生きたまま『鳥葬』されてしまった、おいさん」です。
鳥に突かれる感触を残したまま死なれた方で、「痛いよ〜痛いよ〜」と泣き叫んでました。
*想像を絶する怖さと痛みと思います。
三番目の方は、歳の頃は40代の男性。
騙されて、何もかも盗られ、家族も全員殺され、舌も抜かれて、捨てられたそうです。
最初はうまく話せてませんでしたが、「もう死んでるから、舌もありますから話せますよ。何か伝えたいことありますか?」と言うと、「悔しくて呪い殺したい…」と。長い間、恨み辛みで残ってたことを話し始めました。
四番目の方は、桃を食べて、すぐに上がられました。
五番目の方は、「お伊勢参り」に行く道中、道に迷ったそうです。
家を畳んで、もう家には帰らないつもりで行ったそうですが、どこかの大きな海の砂浜で事切れたみたいです。
海沿いを歩いて歩いて進む途中、とてもお腹が減ったのですが、食べるものもなく、誰にも人に会うこともなく、餓死のような形で亡くなったそうです。
*熱いお茶をグビグビ飲まれてから逝かれました。
最後の方です。
「あんたら誰や?ボンさんか?」と聞くので、「僕は違いますよ。ただ、お経を唱えるだけです。」と言うと、「ほんなら、あの女の人はボンさんか?」と「ブー」こと義姉を指して言うので、「そやで。あの方は、有名な『ブー和尚』言うねん。あの『ブー和尚』のお経は有り難いねんで」と伝えました。
*もちろん、ウソです。\(//∇//)\
このおいさんは、死んだことを理解してました。三途の川をみんなで渡ったそうですが、途中で誰もおらんようになったらしく、三途の川と成仏の世界の狭間で、彷徨っていたみたいです。
誰か知らん奴に腹を切られて殺されたらしく、仕返しをしたいけど誰かわからん…という念が残ってました。
それでも、その怨みもどうでも良くなり、「もう早く楽になりたい…」と我々に伝えると、お経と共にすっと上がられました。
正直な私の感想…
みんな、可哀想すぎるわ!
ホンマ…
恨むのも分かるし、悔しいのも分かる。
だけど、そんな「悪い念」を残してたら、三途の川を渡っても成仏できないようです。
ただ、成仏すると「なぜ自分がそんな目に遭ったのか…」その理由が分かるのかもしれません。