明朝、Mちゃん一家をお家に送ってから、一人で歩けないほど憑いてる状態の嫁を車に乗せ、台風最中の土砂降りの雨の中、1時間ほど離れた義母タカコの家に向かいました。
到着して、一人で歩けない嫁を担ぎ、義母タカコの家の仏間に連れて行き寝かせました。
遅れて仏間に入ってきた義母タカコは、嫁を見るなり、「大変でしたね。可愛いそうに、、冷たかったでしょう。ホントに酷いことされて…。もう大丈夫ですからね…」と労いの言葉を掛けました。
すると、嫁が号泣。
「分かってくれた。。ようやくわかってくれる人がいてくれた…」と泣き崩れました。
聞き取れないほど小声だった彼女がようやく聞き取れる声で話し始めました。
……
時は明治の終わり頃。
まだ「武家」や名士の名残がある時代の話です。
名のある武家に出入りする身分の低いある女性が主人に手篭めにされ、主人の子を宿したそうです。
ところが、その武家には子どもがいませんでした。
身分の低いその女性が子どもを産んでしまうと、その子どもが武家の後継になってしまう。
それを恐れた取り巻きがその女性を亡き者にしようと企てました。
お腹に赤ちゃんを宿した彼女は、死装束(白い着物)を着せられ、轡(くつわ)をはめられ、手足を縛りあげられ、重い石を紐に結んで腰に巻きつけられ、生きたまま…冷たく汚れた池に投げ捨てられたそうです。
息ができず、冷たくて冷たくて怖くて怖くて死んでいった…
赤ちゃんを産んで抱っこしたかった…
なぜ殺されるのか分からないまま死んでいった…
そんな彼女のことを誰一人分かってあげることなく、ずーっとずっと彷徨ってたそうです。
観音さんと不動明王の真言を唱え、観音さんに迎えに来てもらい、成仏されて行きました。
義母タカコ曰く、その武家はその因縁が原因で没落。
子孫も絶え、その家そのものが無くなったそうです。
クッションを赤ちゃんのように愛おしそうに抱っこしてた彼女でしたが、あの世で赤ちゃんとようやく会えるそうです。
なんとも言えない悲しい話でした。
何はともあれ成仏できてよかった…と思うのも束の間。
また新たな方が嫁に現れました。
続く…