刀の試し切りで…
いつものように、お好み焼き屋の女将がお勤めに来ました。
*女将はよく憑く方で、毎日のように浄霊に来られます。
いつもの事なので、「お勤め部屋」で義母タカコと女将の二人でお勤めをしていました。
しばらくすると、女将が部屋から血相変えて飛び出して来て、嫁に「熱いお茶をお願い!」とリクエスト。
義母タカコの様子を息子と二人で見に行くと、義母タカコが「うん、う〜〜ん…」と唸ってました。
ア、アカン…誰かおる。
私と息子に気づいた「義母タカコに憑いてる霊」が、無言で 「君らは誰や…」と訴えてるので、私と息子が自己紹介をしました。
私には、怪訝な顔で様子を見てましたが、息子には笑顔で会釈してはりました。
*どんな霊も子どもには優しい…
どうも声が出ない霊のようです。
ジェスチャーで、自分の死因を伝えようとしてはります。
・刀を振り下ろして頭から切られる動作…
・無念で無念で堪らない苦しい表情…
・祀ってる仏さんを指差して、「あっちに行きたい」…という仕草をしてました。
そして、私と息子が自分たちの年齢を伝えたので、その方も指で「三」、そして、「五」と表現されたので、「あなたは35歳の時に刀で斬り殺されたのですか?」と言うと、オイオイと泣き崩れました。
「戦争で殺されたのですか? それとも、誰かと争って殺されてしまったのですか?」と聞くと、首を振って「違う」と表現されました。
うーん…
てなこと言うてるうちに、嫁がチンチンに熱々のお茶を持って来ました。
義母タカコに憑いてる霊が深々と頭を下げ、熱々のお茶をグビグビと飲みだしました。
飲んでるのは生身の人間である義母タカコ。
「よくもそんな熱いお茶を飲めるなぁ…」と見てましたが、アッサリ飲み終わりましたので、私と息子と嫁、お好み焼き屋の女将の4人で般若心経と光明真言を唱え、嫁が最後に九字を切ったら、スーッと上がって行かれました。
正気に戻った義母タカコから、その方の詳しい状況を聞かされました。
サムライが刀を持ち歩いてた時代。
新しく購入した刀の切れ味を試す為に、自分は何もしてないのに「試し切り」で殺されてしまった方の霊だったようです。
悔しくて、無念で仕方がなかったそうですが、しっかり仏さんのところに行きたくて彷徨ってた方で、お好み焼き屋の女将が住む地域の地縛霊でした。
*その話を聞いてた息子は、その方の悔しい思いを聞いて、可哀想で泣いてました。
なんとも言えない悲しい話ですが、武士が日常、武器を持ち歩き、階級があった時代には、よくあった話なのかもしれません。
こうした理不尽な時代を乗り越えて、今の平和があるのかもしれませんね。